朝日新聞の連載中から大反響だった、小池真理子さんの52編のエッセイ。
作家であり、夫の藤田宜永さんの死を受けて、その哀しみを淡々と静謐な美しい文章で綴っていく。
プロローグ『夫・藤田宜永の死に寄せて』の時点ですでに涙があふれてとまらない…
『彼は今、静寂に満ちた宇宙を漂いながら、すべての苦痛から解放され、永遠の安息に身を委ねているのだと思う。 それにしても、さびしい。ただ、ただ、さびしくて、言葉が見つからない。』
この、ただ、ただ、さびしい…
という言葉が胸に沁み入って、震える。
『ついこの間まで、毎日、並んでごはんを食べていた相手、肩が凝る、腰が痛い、と言っては互いに湿布薬を張り合っていた相手…
芸能人や政治家の悪口を言い合う愉しみも失われ森閑とした部屋の食卓に向かって、独りでテレビを観ながら食事をしていると、時に黒雲のように湧き上がってくる喪失感に打ちのめされそうになる。』
『長く共に暮らし、血管が切れそうになるほど腹を立てたことは数知れずあったのに、今となれば、愉しかったこと、面白かったこと、共有してきた日常のささやかな習慣の記憶の数々のほうが遥かにそれを凌駕している。』
がんはおおよその余命がわかるので、残された時間を有意義に使い、別れの準備を整えることができることから「キャンサーギフト」という言い方があるが、『残された時間が、鋭利なナイフのようになって突きつけられてくる。』という表現から、ギフトとはなり得ない酷すぎる試練を経験された壮絶な辛さがこちら側にも刺さるように伝わってくる…
『死はすべて個別のものだ。喪失からの哀しみから立ち直るための理想的な、唯一絶対の方法など存在しない。傍に立つ自分に何ができるだろうか。』
『生と死は、広大無辺の銀河の中の、ほんの小さな点にすぎない。大げさに考えなさんな。心の中でそう唱えながら…』
『人の心はなんと傲慢なことか。同じ経験をして、初めて真に理解する。時にはそれが、何十年も後のことになったりする。時を隔ててやっと知ることになった感覚にうろたえながらも、先人たちが語った言葉が次々と思い出されてくる。』
『何もかも、余すところなく知り尽くしていたはずなのに、知らないことが山のようにあったと気づく。』
『家族や伴侶を失った世界中の誰もが、様々な小さなことで、例外なく悔やんでいる。』
『とんでもない誤解であった。老年期と思春期の、いったいどこに違いがあろうか。生命の輝きも哀しみも、不安も絶望も、研ぎ澄まされてやまない感覚をもてあましながら生きる人々にとっては同じである。』
全てにおいて文体が美しく、静謐な言葉で哀しみが綴られ、心のありのままを晒していて、感動する。
夫婦で一緒に歳を取っていくのは、とても尊いこと…
腹が立っても許しあって、お互い年取ってるところも受け入れながら、死に向かっていける…
そんな夫婦でありたいと改めて思った。
『元気だったころ、派手な喧嘩を繰り返した。別れよう、と本気で口にしたことは数知れない。でも別れなかった。たぶん、互いに別れられなかったのだ。
夫婦愛、相性の善し悪し、といったこととは無関係である。私たちは互いが互いの「かたわれ」だった。』
「かたわれ」と呼べる存在がいることはこの上ない幸せ。
たとえ失って、寂寥感に襲われても、「想い出」が救いとなる日は必ずくる。
小池真理子さんにはこれからも書き続けてほしい。新作を待ってる人はたくさんいるはず!
ニルソンの「Without You」をグランドピアノを弾きながら歌うという、夫・藤田宜永さんはなんと素敵な方だったことか。
若い頃、パリで暮らされたりしてオシャレで、しかし翳りのある感じが素敵だった。
作家夫婦のお二人は、かっこいい、ベストパートナーだったと思う。
今年最初のお勧め本です。
あの人を探してほしい・・・・
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