ジャニーズ事務所マル秘情報探偵局(ジャニーズ性加害問題)
今から35年前、元フォーリーブスのアイドルだった北公次（2012年没・享年63）氏が、ジャニー喜多川氏による衝撃的な性加害を糾弾した著書『光GENJIへ 元フォーリーブス北公次の禁断の半生記』（データハウス/1988年刊）を出した。
この本を出すきっかけとなったのは、Netflixの『全裸監督』でも有名なAV監督 村西とおる氏とメリー喜多川氏のバトルにある。
当時、村西監督は、AV女優の梶原恭子氏と人気絶頂のアイドルだった田原俊彦氏とのスキャンダルを巡り、ジャニーズ事務所のメリー喜多川氏と揉めて大バトルになり『ジャニーズ事務所マル秘情報探偵局』というホットラインを開設して、所属タレントのスキャンダル情報を収集していた。
その中で、『フォーリーブスのリーダーだった北公次氏がジャニー喜多川氏と1960年代後半から同棲していた』という情報が入る。
その情報をもとに、村西氏の部下が、芸能界を辞めて和歌山県田辺市の地元で土木作業員などとして働いていた北氏を見つけ出し、ジャニー喜多川氏から性加害を受けていた話を聞き出す事に成功。この事がきっかけで、北氏は衝撃的なジャニーズ時代を回想した本を出すことに同意する。
そうした経緯で『光GENJIへ・・・』が出版された。
この本は見事に35万部のベストセラーとなったが、一部の週刊誌が取り上げただけで、テレビやジャニーズ事務所との関係が深い出版社での掲載はされず、まるで性加害の訴えはなかったかのように以降もジャニーズ事務所の勢いは止まらなかった。
ジャニーズ事務所は当時、『週刊文春』の取材に「北にやらせたのはアダルトビデオの村西とおる監督。卑劣な挑発に同じ土俵で戦うつもりはありません」（1988年12月1日号）とコメントしている。
そうして月日は流れ、ジャニー喜多川氏やメリー喜多川氏の死去した現在、ついに事実が白日の元に晒されることに…
今までテレビ局をはじめとするメディアが取り上げてこなかった訳は、ジャニー喜多川氏の性加害を報道すると、ジャニーズ事務所のタレントを自社のテレビ番組等に出演させることができなくなるとの危惧から報道を控えていたと考えられる。
ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が公表した調査報告書にジャニー喜多川氏が何をしてきたのか？！
驚きの事実が詳細に記されている。
「ジャニー氏が自宅や合宿所、公演先の宿泊ホテルなどにおいて、一緒に入浴をする、添い寝する、キスをする、体を愛撫する、性器を弄ぶ、口腔性交を行う、肛門性交を強要する」
などの性加害をされてきたことを被害者21人が認めている。
イギリスの公共放送BBCのドキュメンタリー番組『Predator：The Secret Scandal of J-Pop（J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル）』
が放送され、また、国連人権理事会の『ビジネスと人権』作業部会も8月上旬には、ジャニー喜多川氏が数百人の少年を虐待していたとの調査報告を発表している。
今や国際的にも注目され、日本のエンターテインメント界にはプレデター(性的捕食者)が処罰されることなく行動できる労働環境があるとの不名誉な指摘を受けた。
再発防止特別チームは、
「再発防止策として、事務所は組織として性加害の事実を認めて謝罪すること、金銭的賠償を含む被害者救済措置制度を構築すること、喜多川氏のめい、藤島ジュリー景子社長は辞任すべきで、事務所におけるガバナンス（企業統治）不全の最大の原因のひとつである同族経営の弊害を指摘、また、メディアと対話して相互に監視・けん制する関係で人権侵害の再発を防止していくこと」などを挙げた。
“生殺与奪の権を握られている” と思わせる経営者や企業には多大な責任があり、調査報告書が指摘している通り、この問題をきっかけとして、人権を守れる社会構造について、日本の社会全体で考えていく必要がありますね。
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