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『月と蟹』道尾秀介著 第144回直木賞受賞作品

探偵

鎌倉が舞台の小説✴︎道尾秀介著『月と蟹』

『月と蟹』道尾秀介著 第144回直木賞受賞作品

『月と蟹』道尾秀介著 第144回直木賞受賞作品

 

 

先日、鎌倉の長谷寺に行き、鎌倉が舞台になっているこの本がまた読みたくなり再読です。

鎌倉の風や潮のにおいを感じさせる瑞々しいタッチで描かれ、少年たちのひと夏が切なく胸に迫る長篇小説。(第144回直木賞受賞作品)

《あらすじ》
海辺の町に祖父と母と暮らす小学生の慎一。 よそ者として、クラスになじめない慎一は唯一の友達・春也と、ヤドカリを「ヤドカミ」様という神様に見立てて遊ぶことをはじめる。 最初は単なるごっこ遊びだったものが、偶然を重ね、次第に切実な願いをこめた儀式へと変わっていく。

序盤は、小学5年生の慎一と春也、そして鳴海という女の子が、親を事故や病気で亡くしたり、クラスメイトから嫌がらせを受けたり、家庭内暴力に耐え忍んでいたりと、それぞれが家庭の事情や悩みをかかえながらも、スタンドバイミーのように無邪気に仲良くなっていく。

中盤になると、少年たちは、首まで土に埋められた灰色の巨人の顔に似た岩の窪みを秘密の場所にして、『ヤドカミ様の儀式』という禁じられた遊びを始める。純真さと残酷さが相まった危険な遊びは、ヒートアップする。

終盤では、『ヤドカミ様の儀式』を通して少年たちの思いが恐ろしくサスペンス性を帯びていく。理不尽と戦い、自分たちの世界を必死で守ろうと精神のバランスを崩し、殺意を抱いてしまい…そしてハラハラドキドキの緊迫したシーンからラストへ…

戸惑いながら大人になっていく心の揺れを上手く描いた著者の感性が、なにより素晴らしかった。

 

 

 

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