ピーター・スワンソン 著
アリスが語らないことは (創元推理文庫)
まずはあらすじを…
大学卒業を数日後に控えたある日、ハリーは父親が事故死したという知らせを受ける。急ぎ実家に戻ると、傷心の美しい継母アリスが待っていた。葬儀の翌日、ハリーは刑事から意外な話を聞かされる。父親は海辺の遊歩道から転落して死亡したが、その前に何者かに殴られていたという。しかしアリスは父の死について話したがらず、ハリーは疑いを抱く。過去と現在を行き来する２部構成の物語は、ある場面で、予想をはるかに超えた展開を迎える。
物語は、ハリーの視点でたどる現在と十代の頃のアリスを描いた過去が交互に語られる構成で始まる。
終始アリスというミステリアスな女性に引き込まれる。アリスの家族を中心にモラルから逸脱した性的で妖しい関係やいくつかのエピソードから、異質な人間模様が巧みに展開され、ゾワゾワと面白くなっていく。
人物の心理描写が見事で、悲劇が起こるまでの過程がなんともスリリング！
ミステリーとしては、ハリーの父の死や事件の解決に迫る展開が軸になって進んでいき、犯罪を解き明かす鍵は、謎に満ちたアリスの過去に…
少し難しい法律用語で例えるなら『未必の故意』の心理動向が犯罪のキーポイント。
そのあたりもよく練られていて感嘆いたしました！
原題は “ All the Beautiful Lies “ すべての美しい噓 。
このタイトルがすべてを物語っていて、しっくりきます。
自分を正当化するための嘘が破滅を招いていく…。
映像化されるなら、アリス役は『タミー・フェイの瞳』で初めてアカデミー賞のオスカーを手にしたジェシカ・チャステイン、ハリー役は『DUNE デューン 砂の惑星』のティモシー・シャラメをキャスティングしてほしいなぁ…と笑
心に歪みを抱えた人物たちの心理サスペンスはイヤミス感がありますが、巧みなプロットが光る作品なのでお勧めです👌
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